2023年02月07日 09:03

英治出版は、阪神・淡路大震災直後の神戸からインドネシアの火山地帯まで、ラジオ放送の力で防災・復興に尽力した人々の物語をまとめた書籍「雑草ラジオ──狭くて自由なメディアで地域を変える、アマチュアたちの物語」を1月18日に発売した。
近年、さまざまな災害が激化していると言われる。そんななか、携帯電話のような通信障害が起きず、手回し充電などで停電時のバッテリー問題にも対応できることが多い「ラジオ」は、災害時に最も役立つメディアのひとつだとされている。本書は、各地でラジオ放送を使って防災・復興、さらには混乱した被災地における異文化共生や地域づくりに取り組んできた先駆者たちのストーリーが綴られ、地域の防災に関心を持つ人たちにとってのヒントが詰まった1冊となる。
日本には、災害時に市町村がFM放送の電波を利用したラジオ局を臨時で開局できる「臨時災害放送局」制度がある。緊急時には、電話にて口頭で免許申請ができ、放送に必要な機材一式を無償で貸与してもらうことができる。2011年3月に起きた東日本大震災の被災地では、のべ35の臨時災害放送局が開設され、被災者の生活安定に寄与する情報が流された。日本のこの制度は、2021年にインドネシアでも制度化される際に参考にされたと言われている。
著者が所属するBHNテレコム支援協議会は、臨時災害放送局の開局支援や、平時からの災害ラジオ放送の訓練を提供している。
「雑草ラジオ──狭くて自由なメディアで地域を変える、アマチュアたちの物語」は1月18日発売。定価1980円(税込)。