2025年07月29日 16:34

第一工業製薬は、リチウムイオン二次電池のさらなる需要増加に対応するため、四日市工場霞地区に負極用水系複合接着剤(バインダー)「エレクセルCR シリーズ」の新たな製造設備投資を決定した。

リチウムイオン二次電池の負極材料は黒鉛が主流だが、近年では高容量を追求するために、黒鉛にシリコン系材料(SiO、SiC、Si)が添加されている。シリコン系材料は、充電時に膨張し、放電時に収縮するため、電極構造が破壊され、電池の劣化が生じるという課題がある。昨今では膨張・収縮を制御し、電池の寿命を延ばす接着剤の要求が高まっている。

「エレクセルCR シリーズ」は、高容量化と長寿命化を実現するリチウムイオン二次電池用の水系複合接着剤。シリコン系負極材料の充放電時に生じる膨張・収縮による性能低下を防ぎ、シリコン系活物質100%配合系に適用可能。その優れた性能が高く評価され、現在、大手電池メーカーに採用されている。

今回の設備投資計画は、5月に滋賀工場で実施した増強投資に続くものであり、投資額は約30億円、2027年度の稼働開始を予定。これにより、製造能力の強化と安定供給体制の確立を図る。さらに、今後の市場拡大と顧客ニーズに応えるため、将来的には追加投資も計画している。

同社は、4月からスタートした中期経営計画「SMART 2030」で環境・エネルギー分野を注力領域に位置付けている。本分野での存在感をさらに高めると共に、持続可能な社会の実現と環境負荷低減に貢献していく。