2022年04月27日 12:45

滋賀県立琵琶湖博物館では、前身の滋賀県立琵琶湖文化館時代から日本希少淡水魚の繁殖とその研究に取り組んでいる。今回、2010年度から実施してきたツチフキの自然繁殖に成功し、日本動物園水族館協会の「初繁殖認定」を受けた。それを記念し、水族トピック展示を開催する。
ツチフキはコイ科魚類の一種で、日本では近畿、山陽地方および九州北部に自然分布している。体長は4~8cmと比較的小型で、泥底を好む底生魚。餌は泥の中の小動物やデトリタス(生物遺体・有機物)。餌を食べる時、泥ごと口に入れ鰓から泥を吐き出すので、その様子から「土吹き」という名前がついたと言われている。4~5月の産卵期になるとオスが泥底にすり鉢状の巣を作り、そこにメスを誘い込んで産卵する。
本種は、環境省版レッドリストで絶滅危惧IB類に選定され、絶滅が心配される種。淀川ではすでに30年近く本種の生息確認が途絶えている。そこで同館では、2010年度にツチフキ50個体を導入し、繁殖を試みてきた。これまでに9世代目(850個体以上)までの繁殖に成功。現在は、将来的な野生復帰を実現するために必要な更なる繁殖技術の向上を進めている。
トピック展示では、保護増殖センターで繁殖させている希少淡水魚を定期的に入れ替えながら紹介していく。その記念すべき第1号としてツチフキの展示を行う。初繫殖認定を受けた当館生まれのツチフキを見ることができ、産卵直前の立派な個体を展示する予定。開催期間は4月28日~9月4日。