2025年10月31日 12:54
        
温泉旅館「界 鬼怒川」では、12月1日~2026年3月31日までの期間、「灯る器のものがたり」を今冬初めて開催する。これは、本来であれば廃棄されてしまうはずだった益子焼の陶片をアップサイクルし、光のオブジェとして甦らせたもの。
栃木県の「益子陶器市」は年間60万人が訪れる一方で、作家が作品のこだわりを使い手に直接伝える機会は限られている。また、制作過程では多くの陶器が廃棄されるという課題も。「界 鬼怒川」と取引のある窯元ではその量が年間約400kgにものぼり、処理コストが作家の大きな負担となっている。
「界 鬼怒川」では、コロナ禍で益子陶器市が中止となった際に館内で「リモート陶器市」を開催した経験から、これら2つの課題をあらためて認識。廃棄される陶片を新たなアートとしてアップサイクルすることで伝統工芸の担い手を支え、同時に、作り手と使い手が直接交流できる場を創出したいと本イベントを企画した。
今回のライトアップでは、年間で廃棄される約400kgの陶器のうち、その25%である約100kgの陶片を使用する。夜には、陶片の隙間から漏れる光が一つひとつ灯り、幻想的な影を生み出す。日中は釉薬の色とりどりの表情が庭に彩りを添え、昼夜で異なる趣を楽しむことができる。
館内では、益子焼の作家と直接交流ができる「冬の陶器市」や、益子焼の器を使って楽しむカクテルセットを提供。廃棄される陶片をアップサイクルすることで伝統工芸の担い手を支え、益子焼の魅力に触れる滞在となる。









