2025年05月26日 09:23

むじょうは、人口減少時代における土地利用の新たな選択肢として、耕作放棄地の縮充モデルの構築に着手した。

人口減少・高齢化に伴う担い手不足により、農業を取り巻く環境は厳しさを増し、全国の耕作放棄地は年々増加している。しかし、耕作放棄地に対して「再び活用する」か「完全に放置する」かの二者択一しかない現状は、現場にさらなる負担を強いてきた。特に問題となるのは、放棄地が雑草繁茂や景観悪化、獣害リスクの温床となるケースだ。それを防ぐためには管理が必要だが、そのためのコストや人手を確保することもまた困難になっている。こうした現場のジレンマに対し、むじょうは「粗放管理」という第三の選択肢を提示する。

むじょうが提案する「耕作放棄地の縮充」とは、土地の可能性を維持しつつ、関係者の心の重荷にならない状態を保つことを目的としている。その実践方法のひとつが、ヤギ放牧による粗放管理だ。現在、神奈川県湯河原町の自社牧場にて9頭のヤギを飼育し、放棄地を対象に実証試験を進行中。ヤギたちは雑草を食べながら土地をゆるやかに維持し、機械除草や人力管理に比べて極めて低コストかつ自然な方法で、景観維持と獣害リスク低減に貢献している。このアプローチにより、土地の劣化や荒廃を防ぎつつ、「将来再活用する可能性」も開き続けることが可能になる。むじょうは、耕さないけれど手放さないという第三の選択肢――粗放管理という形を提示し、農地の未来を柔らかく支える仕組みをつくっていく。

むじょう