2024年07月10日 16:05

鹿島は、次世代の山岳トンネル自動化施工システム「A4CSEL for Tunnel 」(クワッドアクセル・フォー・トンネル)の開発を進めている。このたび、神岡試験坑道(飛騨市)での実証工事において、自動ホイールローダによるずり(岩砕)の掬(すく)い取りから運搬、荷下ろしまでの一連の作業を自動化することに成功した。

ずり出しは、発破により切羽で発生したずりをホイールローダで掬い取り、そこから数十m程度後方に配置したダンプトラック等の搬送機械・装置に積み込む作業。標準的なトンネル工事では、発破で発生したずりを搬出するために、ホイールローダが切羽とダンプトラック等の間を発破1回あたり40~60回程度往復する必要がある。発破直後の切羽に近づくため危険でもあり、さらに狭隘かつ凹凸のある路盤上を走行するという作業環境と相まって、ずり出しは技能者の心身への負担が大きい。

今回開発した自動化の仕組みでは、自動ホイールローダに搭載したLiDARの計測データから坑内の地図を作成しつつ、機体位置をリアルタイムで推定するSLAM技術を活用。これにより、発破のたびに状況が変化するトンネル坑内において、計画経路とのズレを30cm以内の精度で自動運転できる技術を確立した。

今後は、ずり出しの更なる効率化を目指し、より多くの工事・工種に展開できるよう技術開発を進めていく。