2024年03月01日 15:43

京都大学医学部附属病院整形外科、京都大学医学部附属病院リハビリテーション科は、サイフューズとともに、末梢神経損傷に対する新しい治療法としてバイオ3Dプリンタを用いた神経再生技術を開発。世界ではじめて患者に移植する治験である「末梢神経損傷を対象とした三次元神経導管移植による安全性と有効性を検討する医師主導治験」を実施した。

現在の末梢神経損傷に対する治療は、患者自身の健常な神経の一部を採取して神経損傷部に移植する自家神経移植術という手術治療方法が主流。この神経を採取する部分にはしびれや痛みが残ることから、必ずしも最適な治療方法ではない。またこれまで開発されてきた人工神経では、自家神経移植術を超える結果は得られず、安全性においても課題を残していた。

このたび基礎検討を経て、治験参加への同意を得られた患者自身から腹部の皮膚の一部を提供。京都大学医学部附属病院C-RACT内の細胞調製施設において、患者の皮膚から線維芽細胞を分離、培養し、この線維芽細胞をサイフューズの開発した臨床用バイオ3Dプリンタを用いて三次元神経導管を製造した。

治験においては3名の患者の皮膚由来の線維芽細胞から三次元神経導管を製造して患者自身の神経損傷部位に移植し、移植後12ヶ月まで観察。その結果、3名の患者全てにおいて知覚神経の回復及び機能的な回復を認め、現職へ復帰することができた。また、すべての患者に副作用や問題になる合併症の発生はなく、三次元神経導管移植の安全性及び有効性を確認できた。