2023年09月29日 11:55

スギノマシンは、自社のセルロースナノファイバー(商品名:BiNFi-s)を樹脂と複合化し、その樹脂を含浸させた炭素繊維強化樹脂(CFRP)のプリプレグ(中間材料)を開発した。
同社は、かねてよりCFRPとCNFの複合化を同志社大学 大窪研究室と共同で研究しており、ハンドレイアップ工法にて作製した平織CFRP積層板を用いて、特性データを蓄積してきた。しかし、多くのCFRP製品がプリプレグを使用した生産方式であるため、最終製品での評価や実用化には至っていなかった。そこで、実用化を加速させるために、顧客からの要望が多かったCNF添加一方向CFRPプリプレグを試作し、製造条件を確立させた。
製造にあたっては、まずCNFをエポキシ樹脂に均一分散させたものを準備し、それをプリプレグ製造メーカーでプリプレグ化する。今後、CFRPの疲労寿命向上や振動減衰が求められているスポーツ用品など、高付加価値用途向け開発を進めるためのサンプルワークを開始。2027年をめどに高付加価値製品として実用化を目指す。
なお、「ウォータージェット法」で製造したCNFを乾燥化することで、熱可塑性、熱硬化性などのさまざまな樹脂体に適用が可能で、応用範囲が広く優位性がある。今後、これらの特長を生かしてCFRPや光学用途など、比較的高価なCNFでも高付加価値なビジネスとして展開していく。