2023年09月11日 15:45

DIC社の近赤外蛍光色素やそれを用いた樹脂材料が、米国マサチューセッツ工科大学(MIT)の目に見えないタグを物に埋め込み追跡できる技術「BrightMarker(ブライトマーカー)」に採用された。
近赤外蛍光色素は、バイオイメージングなどの用途で利用されているが、耐熱性や相溶性の課題から蛍光を発する樹脂材料としての実用例はほとんどない。一方、同社の近赤外蛍光色素は、高い耐熱性を持ち樹脂に混練できるといった他社製品にはない特性を持ち、手術や検査などで使用される樹脂製の医療用具などに採用されている。
また同社の近赤外蛍光色素は、3Dプリンター用の樹脂フィラメントに混練・成型できる。そのため、MITが開発した新技術「BrightMarker」における蛍光タグとして、QRコードなどの情報パターンを印字する上で重要な役割を果たす。近赤外領域で発光可能な蛍光タグであれば、人の目に見えないため、意匠性などを損なうことが無く、秘匿性の高い情報を埋め込むことが可能。
さらに、MITの発表した事例では、同技術がモーショントラッキング(動きを追跡する機能)や仮想現実(VR)技術の向上などにも活用できるとしている。例えば、蛍光タグが埋め込まれたブレスレットを手に着用すると、着用者の動きがVR環境でデジタル化して再現できる。MITは、米国で今秋開催されるユーザインターフェース分野のトップカンファレンス「UIST2023」にて同技術の研究結果を発表する予定。