2022年09月30日 09:56

グラフィック社は、書籍「はじめまして農民美術 木片(こっぱ)人形・木彫・染織・刺繍」を、10月に発売する。

今からおよそ100年前、版画家の山本鼎さんが提唱した「農民美術運動」。それは、農村部の若者たちに手工芸品の制作技術を手ほどきすることで、農閑期の副業となり、また、それまで無縁であった美術活動への参加を促すものだった。現在の長野県上田市を拠点として、農民美術練習所で作られた木彫品や刺繍・染織品等の数々はたちまち評判となり、運動は全国へと波及していく。しかし、戦争の足音とともに徐々に衰退。戦後、長野以外の地で再興されることはなかった。

本書では、このわずか15年の間に全国各地で作られた木片人形・木彫風俗人形を中心に、様々な制作品をその成り立ちとともに紹介している。また、運動全体を俯瞰する解説や、同時期に作られるようになった北海道・八雲町の熊彫との関係、現在長野で作られている作品紹介など、農民美術に初めてふれる人に向けて様々な内容を収録した入門書だ。農民美術とほぼ同時期に始まった民藝運動や、あるいは郷土玩具などのジャンルに関心を持つ人にとっても興味深い内容となっている。これまで全貌を知られていなかった、各地の農民美術の木彫人形を200点収録。さらに、人形以外もいろいろ紹介し、わかりやすい解説やマップも掲載する。

定価は1870円(税込)。発売日は10月。

グラフィック社