2022年05月11日 09:59

伊藤園と富士通は、AI画像解析により茶葉(茶芽)の摘採時期を簡便に判断する技術を共同開発し、伊藤園が展開する茶産地育成事業の契約産地にて試験運用を開始する。

伊藤園は、独自の持続可能な農業モデル「茶産地育成事業」を通じて、茶をはじめとした農業の課題の一つである「雇用の創出と就農者の若返り」に関して技術支援による解決を目指している。茶葉は、摘採する時期が遅れると収穫量は多くなる一方で品質が低下する。日々変化する茶葉の生育状況から摘採時期を判断するためには、生産者の長年の経験から得られるノウハウ、または茶葉を採取・乾燥・粉砕のうえ専用機器で分析して見極める方法が一般的だ。しかし、生産者の後継者育成や新規参入に際しては、摘採時期の判断は容易ではなく、生産力向上と持続性を両立するうえで課題の一つとなっている。

同技術は、伊藤園の茶栽培に関する知見と富士通の画像解析技術およびAIの機械学習を組み合わせて共同開発した画像認識アルゴリズムにより、スマートフォンで撮影した摘採(収穫)前の茶葉の画像をクラウド上でAI解析して、摘採時期の判断指標となるアミノ酸量や繊維量を推定するもの。2022年の新茶摘採から同技術の試験運用を開始し、画像認識アルゴリズムの正確性や実用性を検証する。これにより、生産者の高齢化や後継者不足の折に、茶農業への新規参入の障壁となる課題を解決し、茶農業の生産力向上と持続性を両立することに寄与する。伊藤園と富士通は、茶葉の摘採時期を簡便に判断できる同技術の確立に向けて協働し、2023年の新茶摘採から契約産地で本格展開を目指す。

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