2021年11月30日 15:47

まもなく建立50年を迎える大本山増上寺大殿の屋根瓦総葺き替え工事に、元旦ビューティ工業の「本瓦棒元旦チタン成型瓦」が採用され、この度竣工した。増上寺浄土宗開宗850年慶讃事業の一環として行われた大殿屋根の総葺き替えは、戦災で焼失し1974年に再建されてから初。施工面積4235平方メートル・約6万枚のチタン成型瓦(厚さ0.3mm)の屋根葺き替えは国内最大規模、世界でも類を見ない改修工事となる。

厚さわずか0.3mmのチタン材を高精度な加工技術と成型によって、改修前の本瓦の風合いを再現。参道から見上げる大殿屋根はチタン成型瓦ながら本瓦と遜色ない仕上がりに。また屋根を軽量化することで、建物躯体の負担を軽減し耐震性が向上。増上寺大殿は従来本瓦屋根と比べて約1/10軽量化を実現している。

さらに空気層を設けた屋根桟の内部は、結露水を外に排出する構造によって腐食を防ぎ、木材や釘・ビスを使用しない施工法は年月を経ても強度を維持。地震や台風による屋根飛散を防ぐ。

加えて、一般的に文化財の屋根修理では、修理中の建物を風雨等から保護するための「素屋根」で、長期間に渡り建物全体が覆われてしまう。同社特許技術の「バッキング工法」は、棟から軒先に向かって古い屋根を剥がしながら新しい屋根を施工。屋根内部への雨水の浸入を防ぎ、素屋根を建てる必要がないので、工期とコストを大幅に削減する。施工が終了したところから屋根足場・囲いを解体することができるので、参拝者への配慮にも繋がる。