2025年08月20日 19:51

花王と理研の研究チームは、蚊に最適化した仮想空間装置を用いて実験を実施。CO2の存在が蚊の行動に影響を与え、さまざまな視覚情報やにおいに対する反応を強める可能性を明らかにした。
蚊は、複数の感覚を順番に使って遠くのヒトにたどり着く。花王と理研は、仮想空間装置を用いて蚊の行動について研究を行っており、今回は、蚊が最初にヒトを感知するきっかけとなる感覚刺激であるCO2が、視覚や嗅覚にどのような影響を及ぼしているかを調べる実験を行った。
実験では、CO2があると、動くものを追いかけるモチベーションが上がる蚊を仮想空間装置に入れ、ヒトに見立てた1本の黒い線を見せ、蚊の動きに合わせて線を動かした。蚊は黒色に反応するため、線が動くと追いかけるが、CO2を嗅がせると、その追跡行動がより正確になった。
次に、仮想空間装置の中で動く縞模様を蚊に見せた。通常だと、模様の動きを速くしても、蚊は一定のスピードでしか追いかけない。しかし、CO2を嗅がせると、速く動く縞模様でも追跡行動をとるようになった。さらに、本来は蚊にとって見えづらく、あまり追いかけることのない低いコントラスト(明度)の縞模様でも、CO2を嗅ぐことで追跡できることを確認した。
このことから、CO2が存在することで、蚊は視覚刺激に対してより感度よく反応できるようになると考えられる。この結果は、蚊に刺されやすい状況を理解する手助けとなり、効果的な対策を考えるための重要な情報になると期待される。