2025年07月11日 09:01

兵庫県川西市では6月中旬、多田小学校3年生の児童84人と多田幼稚園の園児15人が、学校近くの猪名川・こんにゃく橋付近で、アユの稚魚を放流する体験学習を行った。
この取り組みは、猪名川漁業協同組合多田支部の主催によるもので、地域の多田小学校区コミュニティ推進協議会や自治会、PTAの協力を得て、地域ぐるみで実施された。この日、揖保川漁業協同組合(兵庫県たつの市)から届けられた体長8~10cmほどのアユの稚魚、約3000匹(約30kg)を、子どもたちがバケツに入れて一匹ずつ川へ放った。元気に泳ぎ出す姿を見て、子どもたちは「ぬるぬるしてるけどかわいい!」「大きくなってまた戻ってきてね」と声をかけていた。
アユは昔から猪名川にも多く生息していた魚で、春に川をのぼって成長し、秋に下流へ下って産卵することで命をつなぐ。きれいな水を好むため、「川のきれいさの指標」としても知られている。猪名川漁協多田支部では、かつてのようにアユやウナギが自然に暮らせる猪名川を取り戻すために、長年にわたり放流活動を続けている。
小学生による放流体験は10年前から始まり、今では地域の恒例行事として定着している。 放流前には、多田小学校で漁協多田支部の加藤仁哉(かとうよしや)支部長が特別授業を行い、猪名川の歴史や、アユ・ウナギの生態について分かりやすく説明。写真や図を交えて行われた授業に、子どもたちは目を輝かせながら耳を傾け、「アユは上流で大きくなるんだ!」「ウナギは海まで行くの?」と興味津々の様子だった。