2025年03月31日 16:23

東陽テクニカは、岐阜大学大学院医学系研究科 手塚建一准教授と、歯髄細胞と細胞カプセル化試薬「AGM」を用いたカプセル化培養法の研究において、共同研究を開始した。
歯髄細胞を培養する際、培養液(培養上清)中にはエクソソームが放出される。このエクソソームは、高い再生能力や低い免疫原性などにより、骨再生や歯周病予防などへの応用が期待されている。例えば、歯周病モデル動物においては炎症を抑え、病的な骨吸収を抑制する効果が確認されている。また、エクソソームは組織修復や再生を促進する働きを持ち、安全性も高いため、口腔内以外でも再生医療や抗炎症治療などにおいて有効な治療手段と考えられている。
一方で、歯髄細胞からのエクソソームの効率的な抽出と純度の向上、応用に向けた大量培養や品質管理といった課題も残されている。
岐阜大学では、再生機能医学分野と口腔病態学分野が協力して発足した「岐阜大学しずい細胞プロジェクト」を通じて歯髄細胞の研究を進めている。本研究はその一環で、東陽テクニカと共同で研究する。東陽テクニカは、自社製の細胞カプセル化試薬「AGM」を岐阜大学に提供し、大量培養の実現に向けた技術支援を実施。「AGM」は生体内に近い状態である3次元での細胞培養を可能にする。
カプセル化によって細胞を浮遊状態で培養できる可能性と、これにより、体積あたりの培養量が増加し、培養液中に放出されるエクソソームの純度と濃度の向上が期待されている。本研究を通し大量培養条件の最適化を目指す。