2024年03月21日 15:38

レゾナックは、宇宙航空研究開発機構(JAXA)が募集した研究提案に対して、月の砂を利用した月面での蓄熱・熱利用システムに関する研究を提案。挑戦的なアイデアとして「チャレンジ型」枠で採択され、4月よりJAXAと共同研究を開始する。

月で有人活動をするには、安定的にエネルギーを確保する必要がある。JAXAでは研究提案の一つとして、「レゴリス物理蓄熱エネルギーシステム」を募集していた。これは、月に堆積している砂「レゴリス」を蓄熱材として活用しようというもの。しかし粒子間の空隙は真空で熱が伝わらないため、レゴリス全体として熱伝導率および比熱を大きくしたり、蓄熱したレゴリスから熱を取り出したりするシステムを構築する必要がある。

これに対し同社は、グループで量産実績のある「レジンコーテッドサンド技術」を用いることで、熱伝導率および比熱を向上できると着想した。これは、レゴリスの表面にポリアミドイミド等の樹脂層をコーティングし、これを締め固める手法。月面環境を想定して、熱シミュレーションを行った結果、熱伝導率、比熱ともに向上。月の赤道面においてはレゴリス単体に比べ、コーティングした場合のほうが昼間の太陽熱を20倍以上蓄熱可能な見込みであるという結論を得た。

今回提案した手法は、月面上で、スクリュー混練のみでコーティング可能であり、実現できれば圧倒的に低エネルギーで大量製造することができる。