2023年11月24日 15:34

関西大学総合情報学部の瀬島吉裕准教授の研究グループは、コミュニケーション時の音声や振る舞いから会話の熱量を推定するモデルを実装した、傾聴コミュニケーションロボットを開発した。

「白熱した議論」「熱心に聞く」「熱気に満ちている」といった比喩があるように、人間は共通的な温度感覚によって、他者の感情状態や場の様相を把握する。本研究では、人間が共通的な感覚として理解しやすい温度に着目し、会話時の音声入力や振る舞いから、会話の熱量を推定するモデルを開発。この推定モデルを、瞳だけでコミュニケーションができるロボットPupiloid(ピューピロイド)へ導入した。

具体的には、会話の熱量が高くない状態のときは、ロボットは視線を逸らす等の態度を生成するが、会話へ熱が入ったときには、アイコンタクトを取りながら積極的な傾聴を行う。とくに、音声入力のリズムを解析して、うなずき動作や相槌を生成するだけでなく、瞳孔を1.5倍程度に拡大して、あたかも会話に興味があるような傾聴態度を生成。この積極的な傾聴態度により、話し手は思わず話し続けてしまい、会話へ惹きつけられるような感覚が得られる。

Pipiloidは最先端のロボット技術の一つとして、日本科学未来館の常設展示「ハロー!ロボット」の展示物として取り上げられており、展示期間は11月22日~。この展示では、Pipiloidとの対話ができるので、コミュニケーションの不思議さや、傾聴態度の嬉しさを体験して欲しいとしている。