2023年06月06日 15:55

鹿島は、巨大地震に伴い発生する長周期地震動による超高層建物全体の揺れを、従来の耐震・制震架構と比べ大幅に低減する制御層制震構造(R)「KaCLASS」を開発した。
超高層建物には、長寿命化とともに、巨大地震により生じる長周期地震動に対応可能な高い耐震性能も求められている。建物の耐震性能を高めるには制震装置の設置が有効だが、各階に設置する従来の制震装置では、建築計画上設置できる台数に限りがある。そこで、制御機構を制御層に集約して配置し、地震エネルギー吸収性能を格段に高める新たな制免震工法の開発に着手した。
KaCLASSは、同調質量ダンパ(Tuned Mass Damper)の原理を応用した制免震技術。建物高さの70%程度の位置に設けた制御層が地震時に変形することで、制御層から上の躯体には免震効果を、下の躯体にはTMD制震効果を与え、建物全体に大きな制御効果を付与。また、制御層が地震エネルギーを大きく吸収し、建物全体の揺れを大幅に低減。そのため、巨大地震による長周期地震動に対しても、従来と比較して少ない柱梁で高い安全性を確保でき、開放的な空間を実現する。
このたびKaCLASSを、阪急阪神不動産が事業を進める超高層タワーレジデンス「ジオタワー大阪十三」(大阪市淀川区)に初導入した。高耐力・高靭性を備えた既開発の超高層鉄筋コンクリート造技術「HiRC(R)工法」にKaCLASSを搭載することで、開放的な居室空間を提供。同時に、より高い安全性を確保した建物を実現できる。