2023年02月24日 11:51

Booonは、長崎大学情報データ科学部 小林透教授の研究グループと、養殖飼料の原料となる昆虫(ミルワーム)の自律分散型育成装置「Worm Pod」に関する共同研究を開始した。

水産養殖飼料においては、これまで魚粉が多く利用されてきた。しかし新興国での水産物の消費量の増加に伴い、養殖の需要が世界的に激増。さらに、昨今の国際状況の緊迫化によって魚粉価格は20年間で3倍以上までに高騰しており、魚粉の国際価格は過去最高値に達している。また、魚粉の材料となる魚(主にカタクチイワシ)は天然資源であり、獲り過ぎによる枯渇は、他の海洋生物にも影響を及ぼす。

そこで、魚粉に代わる新たな養殖用飼料の原料として、注目されているのが昆虫。しかし魚粉に比較して、エサ代や、温度管理のための電気代、管理するための人件費等のコストが発生し、このコストの削減が課題となる。

このたび研究開発する「Worm Pod」は、コンテナタイプのコンパクトな装置。IoTやAI、再生可能エネルギーによる高度な自律機能を備えており、遊休地を活用した持続的なミルワームの育成が可能。消費地の近郊で原料となる昆虫を生産することで、(主な魚粉原産国であるペルーと比較した場合)フードマイルを従来の1000分の1以下に抑えることができる。養殖業が直面する課題であった飼料原料である魚粉の、国際価格高騰へのソリューションとして、安全かつ安価な代替魚粉の安定供給を目指す。