2023年02月22日 11:59

理化学研究所脳神経科学研究センターと順天堂大学、藤田医科大学の研究グループは、双極性障害の大規模遺伝解析(GWAS)によって同定されたFADS1/2遺伝子に着目。そのヘテロ欠損マウスが、新たなモデル動物として有用であることを明らかにした。双極性障害では躁とうつという極端な気分変動がみられるが、これは、それに類似した両方向の行動変化を示す世界初のマウスモデル。
また、多価不飽和脂肪酸の摂取によって症状の頻度が改善されることを示した。脳や血液中の脂質変化を捉えた本成果は、双極性障害の病態解明と新たな治療方法の可能性を示すものとなる。
双極性障害は、躁・うつ状態という極端な気分変動がみられることが特徴的な精神疾患の一つ。躁・うつ状態といった両方向の行動変化を示すモデルマウスは報告されておらず、その原因解明は困難を極めている。今回、研究グループは遺伝学的な知見に基づいて作製したFads1/2ヘテロKOマウスが、躁状態・うつ状態に類似する行動変化を示す世界で初めての動物モデルであることを明らかにした。
この変異マウスでは脳の脂質パターンが異なっており、またDHAが行動変化に対して効果的であることから、双極性障害の発症の原因や症状について脂肪酸代謝を切り口とした新しい理解の第一歩になった。今回着目した小さな遺伝的リスクは約半数の患者が持っており、このヘテロKOマウスを用いた研究開発によって、より広く効果的な新しい治療法・治療薬につながるかもしれないと期待されている。