2022年06月09日 12:38

静岡大学の峰野研究室ではヤマハ発動機と連携し、屋外の農地で栽培されるワインブドウの多数の小さな花を、高精度にカウンティングするAI(人工知能)の研究開発に成功した。
高品質なワインブドウの収量を生育の早い段階で見積もるには、開花の段階でどれだけの花が咲いているのか把握することが、非常に重要。また多く結実させると品質が落ちる可能性があるため、余分な花を取り除く作業も、高品質なワインの生産には欠かせない。
同研究室では、ワインブドウ圃場で高精細カメラを搭載した小型移動車両を用いて照明をあて、夜間に動画を撮影。そこから、ワインブドウの多数の小さな花を、高精度にカウンティングする技術を研究開発した。具体的には、オーバーラップするようなパッチ画像を切り出して花を含む領域を特定し、次のステップで個々の花を検出するという2ステップで処理を行う。
特に、様々な加工を加えてデータ量を増幅し、精度を向上させる技術を推論時にも適用することで、夜間に撮影された薄暗い画像やぼやけた画像でも高精度な検出を実現。異なるワインブドウ品種であっても、既存技術では75%程度だったカウンティング性能を90%まで向上させることに成功した。
本技術は、ワインブドウの花だけでなく、複雑背景下でも多数の小さな部位を高精度にカウンティングする用途に応用できる。今後、本技術の実用化を目指し、長年の経験と勘に基づいて習得したノウハウの効率的な継承や、AIとの協働による負担軽減、持続可能な地域社会の実現を目指す。