2022年06月07日 09:59

難民支援協会は、「難民の報道に関するガイドブック」を発行した。
入管法改正案やウクライナ情勢などで、難民を取り上げた報道が増えている。こうした報道により、難民への関心や理解が社会に広がってきているが、難民は紛争や人権侵害から逃れて日本にいる人々であり、当事者の人を取り上げた場合、報道のされ方によってその人自身や関係する人に重大な被害が生じることもある。報道によって難民への共感が拡がることを願う一方、当事者の人々に被害が生じてはならないという思いから、メディアの人々に留意してもらいたいことをまとめたガイドブックを作成した。
難民に関する報道に限らず、報道により被害や影響が出ることは多面的にある。しかし、難民には、命の危険から逃れてきた背景があること、異なる社会・文化から来た人であること、日本で適切な保護を受けられる可能性が低く先の見通しがない状況に追い込まれていることなどの特殊な事情があり、その点に鑑みて報道によるリスクを想定することが必要だ。
同ガイドブックは、日本で20年以上難民の人々を支援してきた難民支援協会の経験をもとに、有志のメディア関係者の人々や、他の支援団体にも協力を得て、国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)による報道ガイドラインなども参考に作成している。日本に逃れた難民の取材や報道の際に、まず読んでもらいたい、参考にしてもらいたいと考えている。巻末には取材を受ける難民の人向けのチェックリスト(英訳付き)も収録している。
同ガイドブックは、難民支援協会のウェブサイトから誰でもPDFで閲覧・ダウンロード可能。