2022年04月06日 15:58

静岡大学大学院光医工学研究科の佐々木哲朗教授の研究グループは、テラヘルツ波を利用した廃プラスチック識別装置の開発に成功した。
テラヘルツ帯の誘電率は、プラスチックの素材だけでなくひずみや劣化にも敏感。つまり、テラヘルツ周波数帯におけるプラスチックの誘電率は、素材や添加剤混入により透過率や反射率、共鳴吸収のピーク位置が異なることから、素材や添加剤の分類に基づく分別ができる。そのため、現在のリサイクル現場が分別できずに困っている「着色プラ」と「難燃剤」について、テラヘルツ波による識別が可能。
本プロジェクトでは青南商事の協力の下、実際の廃プラを、近赤外分光測定等により組成分析を行い、廃プラのバックデータを蓄積。廃プラ種類のビックデータを解析することで、地域特性があることをはじめ、従来手法である近赤外分析では黒色プラや透明なプラが測定できないことが判明した。今回、開発した識別装置では、透明プラ・黒色プラの測定が可能であり,かつPSやPETといった素材ごとの計測結果に明確な差異が見られ、識別可能であることが明らかになった。
これにより、投入エネルギーが小さいマテリアルリサイクルの資源循環が加速し、素材毎の選別精度が上がることで高度なリサイクルが実現できる。また、テラヘルツ波は直進性を併せ持っており、着色プラスチックに隠れて見えないリチウムイオン電池などの金属を検出することで、リサイクル現場の火災防止にも役立つと期待されている。