2021年11月18日 15:58

伝統的な茅葺き技法を生かし、現代に応用する取り組みを進める株式会社「くさかんむり」は、今夏、丹波篠山市内にあるレストランの茅葺き屋根を15年ぶりに葺き替えた。また、10月には都内で建築家・大橋史人さんとのコラボレーションプロジェクトや、須磨海浜公園でのワークショップを実施した。
丹波篠山市の「りょうり舎やまゆ」では、築400年といわれる茅葺き屋根の修繕を15年ぶりに実施。使用したススキは、熊本県阿蘇地方と兵庫県・上山高原から調達。束の数はおよそ2800、重量に換算すると20トンに迫る量になった。また、大橋史人さんとのコラボレーションによるモニュメント制作は、施設内の駐車場エリアをヨシで覆うプロジェクト。壁や天井といった設えや、床一面に敷き詰めたヨシの上に寝転がり、仰向けになって青空を覗き見る空間など、もともとヨシがその地に生えているかのような世界観を演出した。
「くさかんむり」は、建物だけにとどまらず、様々な方向から茅葺きの持つ可能性や魅力を探り、引き出し、磨き上げて、今を生きる人達に届けるという目的を共有した職能集団。伝統的な茅葺きの修復から、現代的な茅葺きへの挑戦、そしてより多くの人々に茅葺きを知ってもらうためのワークショップやセミナーを開催している。
なお、11月20日、21日には、文化庁日本の技フェアにて、「伝統建築工匠の業」エリアに日本茅葺き文化協会が出展。同協会理事を務める同社代表が、「苫編み」(とまあみ)と「苫葺き」(とまぶき)の技術について、実演紹介する。