2025年10月29日 15:20

沖縄美ら海水族館では、世界初となる「ホシカイワリ」の繁殖に成功し、「サンゴ礁への旅 個水槽」で稚魚の展示を開始した。

「ホシカイワリ(学名:Turrum fulvoguttatum・英名:Yellowspotted trevally)」は琉球列島からインド洋・西太平洋に分布するアジの仲間で、全長70cmに達し食用にもされる。岩礁域やサンゴ礁域に生息し、時には水深100mを超える外洋でも漁獲される。2022年には、分類学的な再検討によりヨロイアジ属からホシカイワリ属へ変更された。

同館では、ホシカイワリ(成魚)を「黒潮の海」大水槽にて展示しており、季節に応じて産卵が確認されていたため、産卵期には受精卵を採取し、育成用水槽で孵化・飼育を行った。繁殖の過程では、初期餌料の種類や与えるタイミングなどについて試行錯誤を重ねた。特にエビと同じ甲殻類の仲間であるカイアシ類(コペポーダ)が仔魚の初期成長に適した餌料であることを明らかにするなど、飼育方法の改良を進めた結果、今回世界で初めて本種の繁殖に成功した。

現在、稚魚は全長約5cmに成長しており、成魚と同様に縦長の体型をしているが、やや体高が高く、丸みを帯びている。体側には名前の由来にもなっている星状の斑点(黄色~金色)はまだ現れず、不明瞭な暗い横帯のみが見られる。

展示個体は4個体。全長約5cm(ふ化日:8月29日~30日)。展示場所は「サンゴ礁への旅」個水槽。