2025年10月01日 15:38

6月に廃業を余儀なくされた山形県で桐箱の製造を行っていた「よしだ」は、「ニッポン手仕事図鑑」と共に「山形よしだ桐箱店」を9月20日に設立し、10月1日より本格始動。「ニッポン手仕事図鑑」よりサポートを受け、新会社としての歩みを始める。

新会社「山形よしだ桐箱店」の前身となる「よしだ」の歴史は、1930年(昭和5年)まで遡る。1955年には、米沢織物や山形鋳物といった地場産業や山形の特産であるさくらんぼの桐箱をいち早く考案し、事業の幅を広げた。

現在も製作を行う吉田長芳さんが事業継承してからは、「桐米びつ」や桐のブックケース「本の正倉院」といった現代の暮らしに活かす新たな製品開発に挑戦。2015年にはグッドデザイン賞、2019年には「にっぽんの宝物JAPANグランプリ」工芸・雑貨部門でグランプリを受賞するほどの反響があった。しかし、数々の優れた製品を手がけながらも、伝統工芸を取り巻く厳しい現実を前に95年の歴史に幕を下ろすという苦渋の決断をした。

幕は下ろしたが、山形県内で唯一となった「山形桐箱」の技術を、そして、このものづくりへの志を次世代に繋ぎたいという志は消えず、伝統工芸の価値づくりに関して知見のある「ニッポン手仕事図鑑」監修のもと、再スタートする。まずは創業の地である山形県からそして、日本全国へと広げ、桐箱の可能性をさまざまな人に感じてもらえるようにアプローチをしていく。