2024年12月03日 19:19

産業技術総合研究所(産総研)は旭化成と共同で、ミドリムシの細胞から抽出される多糖(パラミロン)をベースとする組成物が、自動車構造材用接着剤として使用可能な接着強度を発現することを確認した。

ミドリムシ接着剤は、ミドリムシがその細胞内に多量に蓄積するパラミロンを主成分とするバイオベース接着剤。脂肪酸をパラミロンに付加することで作ることができる。このミドリムシ接着剤は、アルミニウム製自動車用構造材の接着に求められる接着強度を上回る力でアルミニウム板を接着することが可能。この接着強度は、石油由来の代表的な自動車構造材用接着剤であるエポキシ系接着剤の一般的な接着強度に匹敵するものであり、これまでに報告されているバイオベース接着剤の接着強度も上回る。

従来の自動車構造材用接着剤は、接着力は高いがその反面、解体が容易ではなかったため、使用済み自動車の解体や部品の再利用は困難だった。これに対し、ミドリムシ接着剤で接着したアルミニウム板は加熱により容易に解体でき(易解体性)、しかも解体後も再加熱により同程度の接着力でアルミニウム板を再度接着することができる。

使用済み自動車に由来する廃棄物が環境に与える影響は多大であり、高い接着強度と易解体性を併せ持つ接着剤が長らく求められていた。今回開発したミドリムシ接着剤は、使用済み自動車に由来する環境問題の解決に貢献することが期待される。