2024年09月24日 16:11

山と溪谷社より「環境再生型 (リジェネラティブ)農業の未来」が刊行された。
気候危機の時代、世界が脱炭素にとりくむなかで、農業部門はC02排出量の実に11%を占め、大きな責任を負っている(世界で占める割合であり、国内では4%)。同時に、現代の農業が抱えるさまざまな課題、農薬や化学肥料の大量使用、遺伝子組み換え作物、食の安全、地域経済、さらには生物多様性の危機や豪雨による土壌流出にも直結している。
本書は、このような多くの課題を解決する「革新的」かつ「伝統的」な農法を提唱し、実践した記録。著者はメキシコ湾に面したアメリカ・ジョージア州に8平方キロもの広大な牧場をもち、牛、羊、鶏、七面鳥、ヤギを飼う酪農家。少し前まで、彼自身は「工業型」とも呼ばれるごく一般的な牧場経営をしていた。ところがあるきっかけから、「革新的かつ伝統的」なスタイルに変え、試行錯誤の末に無農薬・無肥料、不耕起、かつ土壌が流出しない、さらには「土壌に炭素が溜まる」農牧業のスタイルを確立する。
数世代にわたる私的な回顧録であると同時にアメリカ農業全般の縮図でもある本書は、食物の正しい生産法へと回帰する道を示している。サプライチェーンが逼迫し、気候変動が引き起こす大惨事が収穫に打撃を与え、アメリカの農地を所有する人々に対する懸念がかつてないほど広がっている今。著者は私たちが日々口にしている食物を生産している土地や人とあらためてつながるように訴える。定価2640円(税込)。詳しくはこちら。