2024年08月02日 19:57

フィジオマキナは、立命館大学薬学部の菅野清彦教授と共同で開発を行ってきた溶出試験用新規アクセサリ「Floating lid-R」を、6月に発売開始した。

溶出試験は、日本薬局方で定められた試験法として、医薬品の開発時や市販後の製品の品質検査のほか、後発医薬品の申請に求められる生物学的同等性評価などにも国際的に用いられる。また近年では、溶出試験結果を基に経口製剤の消化管からの吸収性を予測する IVIVC1 研究が盛んに行われている。

腸内での溶出を評価する際、主にリン酸緩衝液が使用されている。しかし、小腸の消化管液は炭酸により緩衝されている為、溶出試験と臨床結果で薬物の溶解性に違いが生じ、ヒトにおける経口吸収性を正しく評価できないという問題があった。本来、溶出試験には炭酸緩衝液を用いた方がより生体内を再現できるが、炭酸緩衝液を大気中でそのまま使用すると炭酸が抜けてしまい、pHがすぐに上昇してしまうことが課題となっていた。

本製品は、菅野教授が、炭酸緩衝液のpH上昇の課題を解決するアクセサリとして考案したもの。汎用されている既存の溶出試験装置に簡便に装着できることから、多くの研究機関で利用することが可能。本製品を使用することで、より生体に近い条件で簡単に薬物の溶出性を評価することができる。動物試験や臨床試験で失敗するリスクを減らし、新薬開発のコスト削減し、さらには医薬品の品質を向上させることが期待できる。