2024年04月09日 15:38

武蔵野美術大学は、学生有志による課外プロジェクト「旅するムサビプロジェクト(通称:旅ムサ)」を2008年から実施している。
本プロジェクトは、2008年に教職課程の三澤一実教授の指導のもとスタートした。契機となったのは、美術館がない地域で中学美術教諭をしている本学卒業生からの「生徒に本物の美術作品を見せたい」という依頼に対し、学生の作品を学校に持ち込んで鑑賞授業を行ったこと。2017年には10年以上続く学生の自主的な活動実績が評価され「2017年度グッドデザイン賞」を受賞し、「教育・推進・支援手法」の分類では美術大学として初の受賞となった。
本プロジェクトの中心は、学生が制作した作品を持参し、子どもたちと対話して鑑賞する「対話型鑑賞」。さらに、黒板に絵を描き子どもたちを驚かす「黒板ジャック」、空き教室を利用した「公開制作」や創造活動を行う「ワークショップ」、小中学校の授業が始まる前、朝学習の時間に対話型鑑賞を行う「朝鑑賞」など。
美術の楽しさや多様性を子どもたちに伝えると共に、学生自身のコミュニケーション能力やファシリテーション能力の向上、そして現場教員の研修や授業改善に大きな成果を出してきた。関係者全員が共に学び合うという、これからの美術教育の可能性を提案する取り組みとなっている。2020年度以降はオンラインでの活動が中心となっていたが、2023年度から活動を4年前の状態に戻し、全国各地での実施を再開している。