2024年04月04日 12:46

千葉大学、神奈川工科大学、早稲田大学の共同研究チームは、微生物のDNAの転写を制御するタンパク質にシステインを導入することで、本来ヒ素に全く反応しないタンパク質を、ヒ素に応答する新しいタンパク質に改変することに成功した。
ヒ素は地球上どこにでも存在する毒性の高い元素。微量でも長期間摂取することで皮膚疾患や神経疾患、がんなどの健康被害を発生するため、環境中のヒ素のモニタリングや検出は非常に重要。これまではヒ素汚染を検出するのに高価な装置を使った化学分析が一般的だったが、設備費用が高く、分析に専門性が必要という問題点があった。
本研究により、システインを導入することでヒ素と全く関連のないタンパク質にヒ素応答性を付与できることがわかった。従来は、微生物を使ったヒ素センサーにはもっぱら既存のヒ素結合タンパク質が使われていた。しかしこの研究により、システインの導入によって様々なタンパク質を、環境中のヒ素汚染を感知するヒ素センサーに改変できることが期待される。
現段階ではまだ、既存のヒ素結合タンパク質にヒ素センサーとしての感度が劣るが、微生物ヒ素センサーの研究分野に一石を投じることができ、今後のセンサー技術の革新につながることが期待できる。本技術が実現すれば、高度な機器が無い施設でも、安価な分析機器でヒ素の有無を検知することが可能になる。この研究成果は、3月27日 (日本時間) に米化学雑誌ACS Omegaに公開された。