2023年06月20日 12:33

明治大学商学部の水野誠教授と明治学院大学経済学部の中野暁専任講師、赤松直樹准教授の研究グループは、消費者セグメンテーション・アプローチによる探索的な分析を実施。パニック購買する消費者の特性を明らかにした。
本研究では、2020年2月の政府による小中学校の休校宣言と4月の第一回緊急事態宣言の後に、 2度のパニック購買機会があったことを、日用品・食品の消費者の購買金額の時系列波形から観測。特徴的な5つのセグメントを特定した。
強くパニック購買する人たちは、普段あまり日用品・食品を買わない男性が多く、その心理には不安感や衝動性が関係していることが示された。この人たちは、ウェットティッシュを日頃の約22倍、ペット用品を約12倍、トイレットペーパーや米を約7倍買うなど極端な買い溜め行動が見られた。
また、消費者の大部分を占める通常よりも少し多くの備蓄を行った人たちには、女性で家族人数が多い、購買経験が豊富な人たちが含まれる。これらの結果は、一部の極端な人たちが大量に買い占めていることを実証的に示している。そのため小売業者にとっては、一人あたりの購入数量の制限を行うなど、消費者全体に商品を行き届かせる施策が重要であることが示唆された。
本研究は2022年12月14日に日本商業学会の欧文誌International Journal of Marketing & Distribution (IJMD)にてオンライン掲載。また2023年5月27日に行われた日本商業学会第73回大会にて、学会賞論文部門「IJMD」優秀論文賞を受賞した。