2023年03月03日 15:22

糸魚川総合病院らの共同研究チームは、体調管理アプリ「頭痛ーる」のビッグデータを、人工知能により解析し、天気が頭痛発生に関与する可能性を報告した。

2020年12月~2021年11月までの頭痛記録データのうち、東京都・神奈川県・埼玉県・大阪府・愛知県・石川県で記録された、片頭痛が強く疑われるユーザーのデータを抽出。気温や湿度などの1時間毎の天気データと、アプリでの1時間毎の頭痛登録数を、人工知能の一種である時系列クラスタリングとPrediction One を用いて解析した。

4375名の抽出されたユーザーの頭痛データを解析したところ、およそ9割が女性で、平均年齢は34歳。頭痛発生と強く関連する天気の要素として、低気圧、高湿度、降雨、6時間前と比較して大きな気圧低下、朝6時の高気圧、翌日朝6時の低気圧。さらに、1週間かけて気圧が低いままであることや、1週間かけて気圧が大きく低下していることが、頭痛発生と関与することがわかった。総合すると、気圧の変化と、降雨や湿度が頭痛発生に関与することが示唆された。

片頭痛による欠勤や休業、学業や労働のパフォーマンス低下などによる間接的経済損失は1人あたり176万円/年と言われている。今回の研究は、スマホアプリによるビッグデータを人工知能により解析した先進的な事例。今後ビッグデータを人工知能で解析する試みが医学に限らず多くの分野で行われることが期待される。なお本研究は、アメリカ頭痛学会の公式医学雑誌「Headache」に、2月28日に掲載された。