2022年09月12日 15:45

日本の広告デザイン界を牽引してきた細谷巖さんによる展覧会「細谷巖 突き抜ける気配 Hosoya Gan-Beyond G」は、ギンザ・グラフィック・ギャラリー(ggg)にて開催中。

1935年9月2日生まれの細谷巖さんは、本展覧会オープンの3日前に87歳の誕生日を迎えた。終戦から8年後の1953年4月、細谷さんは神奈川工業高校工芸図案科を卒業し、クリエイティブエージェンシーのライトパブリシティに入社。2022年現在、同社の代表取締役会長を務めている。振り返れば69年間もの長い年月、細谷さんは同じ会社で、第一線でアートディレクター、グラフィックデザイナーとして、また東京アートディレクターズクラブの会長として、日本の広告デザイン界を牽引してきた。

細谷さんは粋の良い写真や素材などを自由自在に使いこなし、目の覚めるような広告やエディトリアルデザインを矢継ぎ早に生み出した。その名の通り、厳しい切れ味のある作風と格調高い一徹な創作精神により、広告が真に「創造的」であるかどうか、「文化的」であるかどうかという新たな次元を、日本で初めて切り開いたパイオニアと言える。

本展では、これらの忘却の彼方に押しやられていた、細谷さんの半世紀以上前の珠玉の「デザインの遺産」を再度呼び起こす。展覧会のタイトルのコンセプトに込めた想い、細谷さんの「閃 (ひらめ) く新しい世界へ通じる、既存の皮膜を突き破る力」を体感することができる。10月24日まで開催。