2022年05月18日 15:11

東芝エネルギーシステムズとビードットメディカルが開発した、陽子線がん治療装置向け照射装置のビーム試験が、大阪大学核物理研究センターで実施された。それにより、陽子線を指定した角度から、1点に照射できることを確認。粒子線がん治療装置向けの、コンパクトな新型照射装置の実現に前進した。

粒子線がん治療装置の一部である回転ガントリーは、360°全方向から照射が可能な自由度の高い装置だが、電磁石を用いて高エネルギーの粒子線を輸送・制御する必要がある。また、電磁石ごと回転させる構造のため、装置の小型化が困難とされてきた。

東芝エネルギーシステムズでは、このような背景の中、超伝導技術を応用して重粒子線がん治療装置の小型化を進めてきた。同社で開発した超伝導回転ガントリーのさらなる小型化を目的として、2019年度よりビードットメディカル社と共同研究を実施。粒子線がん治療装置向け小型照射装置を開発してきた。その結果、超伝導技術を利用して、電磁石を回転させる機構を必要とせず、粒子線を様々な角度から1点に導くことができる照射装置を実現した。

同社が超伝導技術を用いて小型化を実現してきた重粒子線がん治療装置は、今回開発した技術を応用することにより、さらなる小型化が可能に。これにより重粒子線がん治療装置の導入に必要な建物の大きさや、導入コストが大幅に軽減される。同社は今後も、積極的な技術開発で質の高いがん治療の実現に貢献していく。