2022年02月17日 19:00

山と溪谷社は、ヤマケイ文庫「人間は、いちばん変な動物である」(日高敏隆/著)を刊行した。本書は2010年10月に発刊された、「ぼくの生物学講義」(昭和堂)を、改題・再編集のうえ文庫化したもの。

著者の日高敏隆(ひだか・としたか)さんは、1930年東京生まれ、2009年11月没。東京大学理学部動物学科卒業後、東京農工大学教授、京都大学教授、総合地球環境学研究所初代所長などを歴任。主な著書に「チョウはなぜ飛ぶか」「春の数えかた」などがある。広く深い教養をバックボーンに、誰にでもわかる平易な言葉で、動物行動学および生物学の魅力を長く伝えてきた功績は大きい。

日高さんは「戦争というのをする動物は、ほかにはいない。それはなぜなのか。どうしたらいいのかっていうことを、ちゃんと考えなくちゃいけない。そのためには、生物学の一端として、人間というのはどういう動物なんだということを、ちょっと考えてみる必要があるだろうというので、この講義をすることにした」と語る (本文より)。

本書では生物としての「人間」を、容姿・言語・社会などの話題をさまざまに展開しながら、わかりやすい言葉で説明。ドーキンスの利己的な遺伝子、ダーウィンの進化論、チョムスキーの生成文法など、生物学の基本的な理論も、本書を読めばユーモアを交えた解説で楽しく理解できる。著者が京都精華大学で行った最晩年の講義であり、今を生きる「人間」必読の一冊となっている。定価1045円(税込)。