2021年09月16日 17:16

マクセルは、硫化物系固体電解質を採用し、高電圧、高出力に特化したコイン形全固体電池を開発した。本電池は、全固体電池の特長を活かし、バイポーラ構造を適用することで、高電圧・高出力を実現。多様化する市場ニーズに応え、高エネルギー密度という開発軸ではなく、高電圧・高出力という新しい開発視点で提案する。

本電池は、マクセルの全固体電池の特長である広い温度環境への対応および長寿命、高い安全性を併せ持っており、サンプル出荷開始は11月を予定。

マクセルは長年にわたり、リチウムイオン電池やマイクロ電池の開発に取り組んできた。そこで培った技術を融合させ、全固体電池の開発に取り組むなかで、課題であった抵抗値の改善などにより本電池の開発に成功した。本電池は、2020年9月に発表したコイン形全固体電池に対して、電圧は約2倍の5V、出力は約5倍を実現している。高電圧化は、マクセルのアナログコア技術の一つである「高精度成形」の技術を深化させ、高充填化による低抵抗化、そしてバイポーラ構造を成立させたことで実現した。

本電池を使用することにより、高電圧を得ることができ、従来のコイン形全固体電池よりも省スペース化が可能(約50%低減)。また出力特性の向上により、低温での使用範囲を拡げることができた。2021年3月に発表したセラミックパッケージと組み合わせることによって、基板への表面実装も可能。