2021年09月06日 12:51

山翠舎は、新たに蔵戸に特化した流通・販売サービス「松治郎商店」を立ち上げた。

同社は、古民家・古木の活用を事業の柱に掲げ、持続可能な社会づくりに取り組んできた。蔵戸とは、家財や商品などを安全に保管するための蔵に付けられた扉。優れた防火、防湿、防盗構造を持っており、今では貴重な巨大なケヤキの一枚板が使われていたり、接着剤を使わず楔だけで力強く接合されていたり、木材の反りや分離を防ぐための吸付き桟が加工されていたりと、希少価値が高く、かつての建具職人たちの高度な技術が息づいているのも魅力だ。

長年、古民家や蔵の移築・解体を手がけてきた同社では、一枚一枚の蔵戸を丁寧に蔵から外し、磨き、保管してきた。その数は、いまや100枚以上にのぼる。貴重なものも少なくないからこそ、価値が正しく理解され、長く大切に使い続けてもらえたら。そんな想いから立ち上げたのが、建具職人だった同社の初代・山上松治郎さんの名を冠した「松治郎商店」だ。上質な素材を選び抜く審美眼と確かな技術で手仕事に励んできた精神を引き継ぎ、新たな価値を生み出したいとの想いを込めている。

「松治郎商店」で扱う蔵戸は、すべて一度解体して細部まで磨き、金具も外して塗装し直してから、再び装着したもののみ。納品先に合わせ、扉の幅や丈など、サイズの調整も行う。さらに、「松治郎商店」では、オーダーメイドの蔵戸や建具も手がける。

松治郎商店公式サイト