2021年06月10日 16:22

太陽インキ製造は、「高周波対応配線形成用新シードフィルムの開発」で、第53回日化協技術特別賞を、DICと共に受賞した。本開発品は、次世代通信規格「5G」の高周波帯域で使用される電子機器向けにDICと共同開発したもので、両面にナノメタルからなる新シード層がコーテイングされたフィルムとなっている。

5Gの普及に伴い、使用周波数帯域であるSub6やミリ波帯で高周波信号をロスなく伝送する銅配線技術が重要になってきている。高周波伝送では、高周波帯域になればなるほど電流が銅配線の表層にしか流れないため、表層の形状が平滑でなければ伝送損失が増大する。そのため、配線の四辺を平滑にする銅配線形成技術が求められている。本フィルム材料を用いると、金属ナノ粒子のシード層に銅めっきを行うことで、基材フィルムと銅配線の界面を極めて平滑な状態で密着させることができる。

また、より精度の高い銅配線を形成する方法として、従来は銅シード・モディファイドセミアディティブプロセス(MSAP)た用いられてきた。しかし、シード層の銅をエッチングする際に、銅配線が同時に溶解するため、配線自体が痩せて配線の表面や側面の凹凸が大きくなる課題があった。

一方、本フィルム材料では、銅とは異なる金属をシード層に用いるため、シード層のみをエッチングすることが可能となり、銅配線が痩せずに配線表面や側面が平滑なファインパターンを得ることができる。