2021年03月15日 08:27

凸版印刷は、曲率半径1mmで100万回屈曲可能な高可撓性・高耐久性と高キャリア移動度を兼ね備える新規構造フレキシブル薄膜トランジスタ(Thin-film-transistor、TFT)の開発に世界で初めて成功した。
近年、折り畳み式スマートフォンなどに利用されているフレキシブルエレクトロニクスは、ウエアラブルセンサや遠隔患者モニタリングをはじめとする医療機器、スマートパッケージ、電子テキスタイルといった消費者向け製品などの幅広い用途で、その開発が期待されている。フレキシブルエレクトロニクスのTFTとしては、可撓性や軽量性などの点から有機TFTが有力視されているが、キャリア移動度が低く、信頼性や耐久性に劣るなど多くの課題が残されている。一方でシリコン系や酸化物の半導体からなる無機TFTはキャリア移動度が高く、量産工程も確立しているが、可撓性には改善の余地がある。そのためキャリア移動度と可撓性、耐久性すべての特性を満たすTFTの開発が切望されている。
このような課題に対し、同社は独自の成膜技術・印刷技術・フィルムハンドリング技術を駆使し、シャープペンシルの芯に巻き付けられるような高可撓性、フレキシブルプリント回路基板並みの高耐久性、そしてテレビなどで広く使用されるアモルファスシリコンTFTの10倍以上の高キャリア移動度を兼ね備える新規構造フレキシブルTFTの開発に世界で初めて成功した。同開発品とセンシング部材を組み合わせることで、高可撓性・高耐久性を求められるフレキシブルセンサの実現を目指す。