2015年03月12日 10:16

シリア内戦が5年目を迎える。長期にわたる紛争で保健医療体制は荒廃、待望される援助も武力衝突に巻き込まれている多くの人びとのもとに届いていない。医療施設や医療者への攻撃も相次ぐ中、国境なき医師団も活動を制限せざるを得ない状況にある。膨大な医療ニーズに対する援助の拡大が求められている。

シリアの保健医療体制は4年に及ぶ紛争で荒廃。物資と優秀な医療従事者の不足や、医療施設への攻撃が原因で、最低限の医療すら望めなくなっている。国内第2の都市アレッポでは紛争ぼっ発前、推計2500人の医師が勤務していたが、現在開業している病院に残る医師は100人に満たない。その他の医師は市外に逃れて国内避難民となるか、拉致や殺害の犠牲となっている。

国境なき医師団インターナショナル会長のジョアンヌ・リュー医師は「人命の喪失と民間人の苦痛が耐えがたい水準に達していながら、人道援助がこれほど限定的な現状は容認できません」と訴える。