2025年07月15日 19:52

シェルターは、世界で実例のない最高高さ110m、地上24階建て純木造超高層ビルのシミュレーションを行った。これは、純木造超高層ビルの実現に向けた重要なマイルストーンとなる。

本モデルは、東京都内に建設を想定した事務所および集合住宅複合型の純木造超高層建築で、国産材(カラマツ)と独自の木質耐火部材「COOL WOOD(クールウッド)」を用いている。主要構造部にはヤング係数(剛性)の高いカラマツ集成材を採用し、最下層には2000mm角の柱と500×1000mmの梁を配置。接合部には、鋼棒とグラウトによる高剛性接合技術であるGIR接合を基本とした設計を導入している。

特に、柱と梁の接合部における構造制御設計では、梁端部に靱性を持たせ、地震時には鋼棒が塑性変形(降伏)することで地震エネルギーを吸収する仕組みとなっており、高い耐震性能を実現。また、「COOL WOOD」によって3時間の耐火性能も確保した。

同建物を木造と鉄骨造で比較した場合の温室効果ガス(GHG)排出量の差異についてもシミュレーションを行い、木造とすることで約8700tのCO2排出量の削減が可能であることが分かった。これは、自動車が約75万kmを走行する際に排出される量に相当する。また、建物そのものが1万8600tのCO2を固定化(炭素貯蔵)し、それはスギ3万6880本分の二酸化炭素蓄積量に相当。木造建築が気候変動対策において極めて有効であることを改めて実証する結果となった。