2025年06月18日 19:57

順天堂大学の研究グループは、高速・高感度の多重三次元免疫組織化学法(POD-nAb/FT-GO 3D-IHC法)の開発に成功した。
抗体分子を用いて三次元組織内の標的分子の分布を明らかにする三次元免疫組織化学法は、主に二次元で行われてきた免疫組織化学法を大幅に拡張し、組織学、病理組織診断に新しい視野を与える。一方で、三次元免疫組織化学法の運用には抗体分子の三次元組織への迅速な浸透、シグナル検出感度の向上が大きな課題となっていた。
そこで、研究グループは、ラクダ科動物に由来する小さな抗体フラグメント(断片)であるナノボディに着目。そのナノボディをペルオキシダーゼにより標識することにより、高速・高感度の多重三次元免疫組織化学法の開発に取り組んだ。その結果、通常使用するIgG抗体が浸透しづらい組織深部の標的分子の標識に成功。通常の標識ナノボディを用いた染色法と比較して5倍以上のシグナル増幅を達成した。
三次元免疫組織化学法は、二次元組織では見ることのできなかった分子発現、細胞分布、組織構造を明らかにすることができる。今回、研究グループが開発した高速・高感度のPOD-nAb/FT-GO 3D-IHC法は、通常の免疫組織化学法では標識できない組織深部の抗原を高速かつ高感度で検出することが可能。これまで二次元を主体に行われてきた組織学、病理組織診断を拡張し、これら分野に新しい視野を与えていくことが期待される。