2025年06月18日 12:55

ユニバーサル・サウンドデザイン聴脳科学総合研究所は、広島大学の研究グループが感音性難聴者を対象に行った研究の効果実証に、高明瞭化音響デバイスを提供し、協力した。
日本では高齢化の進行に伴い、感音性難聴を抱える人が増加。80歳以上の男性では約84%、女性では約73%が感音性難聴を有していると報告されている。従来、難聴の対策としては補聴器の使用が一般的だが「長時間の装着が難しい」「使いづらい」といった理由から、継続して使えない人も少なくない。
今回の研究では、補聴器では補いにくい高音域および超高音域の音を明瞭に再現する高明瞭化音響デバイスを利用。高音の聴こえが残っている難聴者に対して、短時間の音楽聴取を毎日続けることで、脳の音処理機能がどのように変化するかを検証した。同研究では、難聴のある被験者が、1日1時間、高明瞭化音響デバイスから流れる音楽を35日間聴くことで、脳の聴覚中枢が活性化し、特に騒音下での言葉の聞き取り能力に有意な改善が見られた。
補聴器を装着しなくても実施できるこうした方法は、継続しやすく、脳の反応の変化を伴う効果的なリハビリ手法として期待されている。本研究で示された明瞭聴取音療法の有効性を踏まえ、今後はその実用化に向けた開発や臨床応用の検討を進める。特に、最適な使用時間や期間の特定、補聴器との比較による満足度の評価など、より実践的な条件下での効果検証、長期的な効果や持続性の確認に取り組んでいく。