2025年03月28日 19:35

奈良ホテルは、昨年迎えた創業115周年を機に、奈良ホテルに唯一残されたレジスターブック(宿帳)を約9カ月間かけて修復し、3月26日12時半より展示を再開した。

奈良公園隣接の小高い丘に建つ奈良ホテルは、明治42年(1909年)の創業以来、多くの賓客を迎えてきた。桃山御殿風檜造りの本館は辰野金吾さんの設計。館内随所の調度品が明治の時を思い起こさせ、その雰囲気はまるで美術館に泊まるようだ。

この度、レジスターブック帰還を記念して、本館ロビー前ショーケースのデザインをレジスターブック仕様に刷新。修復作業のパネル展示や、修復中に発見されたインク吸い取り紙(復元)も展示している。修復前は装丁がずれた状態になり、本紙にたわみが生じていた。背表紙の接続部分が破れて外れていた。修復後は表紙と背表紙を補修し一体化させた上で本紙に取り付け、洋装本にしたて直した。

本レジスターブックは、創業日の1909年(明治42年)10月17日~1911年(明治44年)5月7日までの約3年間の宿泊者情報が1冊に綴じられたもので、全体で2000名以上の宿泊者が書き記されている。この唯一残されたレジスターブックは奈良ホテル及び奈良の観光業の歩みを今に伝えるのみならず、我が国の近代旅館業史を考える上で重要な資産であるととらえ、大切に保存し、ホテルの歴史と共に未来へと受け継いでいく。