2024年06月20日 16:13

2023年7月11日に亡くなった、チェコスロヴァキア生まれのフランスの作家、ミラン・クンデラ。集英社文庫は、彼の「緩やかさ」を6月20日に、「ほんとうの自分」(『ほんとうの私』改題)を7月19日に新たに文庫化する。そして、命日である7月11日には、既刊「存在の耐えられない軽さ」「不滅」「笑いと忘却の書」「別れのワルツ」、計4冊の電子書籍を一斉刊行。なお、「笑いと忘却の書」「別れのワルツ」の紙版はカバーを新装する。
ミラン・クンデラは1929年チェコスロヴァキアのブルノ生まれ。父ルドヴィークは作曲家ヤナーチェクの弟子で、ブルノのヤナーチェク音楽院の院長を務めた音楽家。クンデラ自身も幼いころからピアノ・作曲を学びつつ、詩を書き始める。プラハ音楽芸術大学卒業後、67年に小説「冗談」が国内外で注目されるが、「プラハの春」で改革支持を表明したことにより、70年全著作が発禁処分に。
75年フランスに亡命、81年フランス市民権を獲得。89年にチェコスロヴァキアが民主化された後もフランスにとどまり、精力的に作品を発表する。なかでも「存在の耐えられない軽さ」は、映画化の影響もあり世界的な話題作に。小説のほかにも評論集「裏切られた遺言」など数多くの著作がある。79年に剥奪されたチェコスロヴァキア(現チェコ)市民権は、2019年に回復された。23年7月パリで死去。