2024年06月13日 16:08

三菱電機、熊本大学MRC、東邦金属、JAXAは、金属3Dプリンター業界で初めて、ワイヤー・レーザーDED方式によるマグネシウム合金の高精度な積層造形技術を確立した。
近年、自動車のEV化の進展や民間航空機の需要拡大などに伴い、ロケット以外の各種産業分野においても軽量化のニーズが高まっており、マグネシウム合金が注目されている。一方で、マグネシウム合金はダイカスト法と呼ばれる鋳造での加工が一般的であり、内部に空洞を持つような造形が不可能という課題があった。
また金属3Dプリンターでは金属の粉末を熱で溶融させて積層造形するPBF方式が主流だが、酸化による劣化や粉塵爆発を引き起こす可能性があり、安全に運用できないことが課題だった。
4者は、金属粉末ではなく、金属ワイヤーを材料として使用するワイヤー・レーザーDED方式を採用した三菱電機の金属3Dプリンターと、熊本大学MRCが開発した高い不燃性を有する「KUMADAI耐熱マグネシウム合金」を組み合わせることに着目。東邦金属により製造されたKUMADAI耐熱マグネシウム合金製ワイヤーを用いて三菱電機が試験造形を繰り返すことで、マグネシウム合金ワイヤーを、精密な温度制御により燃焼させずに積層造形する技術を確立した。
本技術による積層造形物について、ロケット用材料としての性能評価をJAXAにて実施。その結果、ロケットの部位によっては従来のアルミ合金構造と比較して最大で約20%の軽量化効果が得られる可能性が試算された。