2024年01月12日 12:44

京都産業大学生命科学部の稲元哲朗研究員らの研究グループは、琵琶湖に生息する3種の在来ナマズのミトコンドリア全ゲノムを解読。環境DNA解析で利用することができるナマズ属、および各種特異的な4種類のリアルタイムPCRプライマーセットの開発に成功した。研究に参加したのは、稲元哲朗さんほか、高橋純一准教授、滋賀県立琵琶湖博物館の田畑諒一主任学芸員、生物技研で、調査したのは、ビワコオオナマズ、イワトコナマズ、マナマズ。

環境DNAとは、生物が環境中(水中など)に放出している粘膜や代謝産物を回収し、そこから抽出したDNAのこと。このDNAを解析することで、生物種のモニタリング調査が可能になる。しかし、従来の魚類用の環境DNA解析手法を用いた方法では、他種魚に比べて相対的に個体数の少ないビワコオオナマズやイワトコナマズの環境DNAを検出することが困難だった。

リアルタイムPCRでは、PCR装置を用いて、配列特異的なプライマーを使用して、特定のDNA配列のコピー数を決定することができる。PCRサイクル中の各ステージにおいて生成される増幅産物の量を測定することにより、DNAを定量することが可能。通常のPCRよりも感度・正確性が高い手法となる。

琵琶湖水系に生息している3種の在来ナマズの分布、個体数、生態などの情報を調べることが可能になり、生態調査や保全に向けた取り組みに利用できることが期待される。