2023年12月26日 13:02

NPO法人「結び手」が、インド・ビハール州で児童売買撲滅を目的としたキノコ栽培事業を10月より開始した。

ビハール州は、深刻な児童労働問題に直面している地域の一つ。特に低カーストの家庭では、安定した収入源の欠如に、女児蔑視やカースト差別等の価値観的な要因も合わさり、多くの家族が極端な貧困の中で子どもたちを売るという悲痛な選択を迫られている。

このたびの事業の主な目標は、特に母親たちに安定した収入源を提供すること。低投資で始められるキノコ栽培は、細かな技術的な教育が不要であり、経済的に困難な家庭でも容易に取り組むことができる。家庭内での栽培が可能であるため、伝統的価値観や家事の忙しさなどから外出が難しい女性にとっても適している。

試験運用として、ビハール州・スジャータ村の3つの家庭が10月からキノコ栽培に挑戦した。キノコは20日ほどで実をつけ始め、30日から収穫を開始し、その後約1カ月間収穫が続く。収穫したキノコは地元のマーケットや、キノコの需要が高いタイ料理レストランなどで販売を行った。約2カ月間の試験運用期間を通じて、現地の女性たちと協力しながら技術を学び、収穫量を増やすための改善点も発見。

この経験を踏まえ、アンタッチャブル(不可触民)と呼ばれるようなカーストの村への展開を11月より進めている。また、日本人が離れた後も現地で自走できるような仕組みづくりをすることが最重要であると考え、村の中に成功事例を築くことで地域内での普及を促進していく。