2023年12月11日 15:59

東京都市大学、TIS、岡山理科大学、工学院大学は、バーチャル空間での視線の可視化により、視線の可視化がない場合と比べて3倍以上の確率でコミュニケーションを誘発する技術を開発した。

偶然出会った人との何気ない交流を指すインフォーマルコミュニケーションは、しばしば課題解決のヒントやイノベーション創出のきっかけとなる。しかし、目的が明確な場合が多いデジタル空間でのコミュニケーションが急増した現在、日常生活全体で人々のインフォーマルコミュニケーションの機会が急減している。

本研究は、コミュニケーションの開始時に重要な役割を果たしているとされる視線に着目。デジタル空間の一つである3次元バーチャル空間において、本来見えない視線を可視化することで、インフォーマルコミュニケーションの誘発を試みた。3種類の視線の可視化手法(矢印、シャボン玉、ミニチュアのアバター)を実装し、この3つの可視化された視線と、可視化されない視線を比較するユーザー実験を実施。その結果、可視化された視線はいずれも、可視化されない視線よりも偶発的なコミュニケーションを誘発することがわかった。

バーチャル空間で複数のユーザーが共在する多くの場面に応用でき、インフォーマルコミュニケーションの機会を創出するデジタル空間の実現が期待される。今後は、本研究成果の発信やソフトウェアの公開を通じ、各種コミュニケーションサービスへの提案手法の適用や、コミュニケーション支援に関する研究開発の進展に役立つことが期待される。